キャレオスの挑戦!
福山市や府中市で介護福祉、児童福祉事業を展開するキャレオス株式会社ですが、実は「国際事業部」という部門があるのをご存知ですか? インドネシアで「フジアカデミー」という6校の日本語学校兼職業訓練校を運営し、日本での就労を目的とした外国人の人材を育成。さらに、外国人労働者の雇用を日本国内で継続的にサポートするため、送り出し機関の運営も行っています。
名前だけを見ると、「いったいぜんたいどんなグローバルな事業を行っているの?」「介護と海外!? どんな関係があるの?」と疑問に思われるかもしれません。そこで今回は、国際事業部に関するあれこれを、代表取締役社長の藤井克樹さんに教えていただきました!

介護業界の人手不足に直面 課題解決の糸口を探すため 自分ごととして始まった
Q. 介護福祉に携わる会社が国際事業部を立ち上げた理由は?
「今後、介護業界は深刻な人手不足に陥る」とあちこちで言われるようになったのが、今から15年ほど前のこと。少しずつ介護分野でも外国人技能実習生の採用が検討され始めていた時期で、人手不足を自分たち自身で解決するために、少しでも早く対策をする必要がある思ったんです。企業として何かグローバルな展開を…と考えたわけではなく、自分ごととして取り組み始めたのが国際事業部のはじまり。
海外での技能実習生の募集や受け入れに関する調整、各種手続きなどを行う監理団体というものがあるのですが、できるだけ早くスムーズに人材をリクルートするため、2010年頃に監理団体を設立。当時は介護職種の技能実習制度が始まっていなかったので、自動車整備などに携わる人材を紹介しながら少しずつ実績を重ねていきました。
さらに、インドネシア現地の送り出し機関を探す中で、どうしても信用できるパートナーを見つけられずにいました。実習生に必要以上に高額な費用を負担させることは珍しくなく、その費用を借金として背負わされることも多々…。
今後、私たちが全国の介護事業所に人材を紹介していくために、そういった問題を無視して進めることはできない、きちんとした仕組みを作っておきたいと考え、送り出し機関の設立を決意。2017年にインドネシア・バリ島に日本語学校を設立し、現地での教育事業がスタートしました。設立といっても、最初は現地にある送り出し機関の学校の教室を間借りする形でしたけど…。
2017年11月に介護分野での技能実習が開始され、2019年にはバリ島に自校の校舎を建設。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大などもあり、なかなか順調なすべり出しとはいきませんでしたね。

ボランティア活動を通じて知った インドネシア人のホスピタリティや人柄
Q. なぜインドネシアだったのですか?
父と一緒にインドネシア・バリ島で植樹活動や井戸掘りのボランティア活動をしたことがあるんです。バリ島はヒンドゥー教の島として知られているのですが、目上の人に対して敬い感謝するという宗教観や風習、そして彼らのホスピタリティや人柄が日本の介護業界で働く人材として非常にマッチしていると感じました。
間借り教室時代の生徒の中には、現地の学校で校長先生をしてくれている人材もいます。日本で実習を終えてただ帰国するのではなく、キャリアの循環になっていることがうれしいですね。

高水準のカリキュラムで 日本の介護現場にマッチした レベルの高い人材を育てる
Q. 現地の学校ではどんなことを学ぶのでしょうか?
6ヶ月かけて、まずは日本語、そして介護の専門的な知識を身につけてもらいます。日本語能力試験にはN1からN5まで5つのレベルがあるのですが、入学して2ヶ月でN5、さらに2ヶ月でN4を習得するのが絶対条件です。日本語と介護、どちらにおいてもカリキュラムには自信があります。
また、日本語や日本文化の取得水準を上げるため、全寮制にしています。
Q. フジアカデミーの運営が軌道に乗るまで、どんな苦労がありましたか?
介護分野は日本語要件が厳しいので、現地の方にとってはかなりハードルが高い…。介護分野ではどうしても女性が重宝される傾向があったのですが、女性が家を出て海外に出稼ぎに行くのはさらにハードルが高い…。しかも全寮制の学校に入る必要があるものだから、最初は生徒が集まりませんでした。もうまったくといっていいほど!
もちろん会社としての実績もなく、信用してもらえないのも当たり前。関係機関を回って、とにかく地道に説明をしました。女性が海外に進出するというハードルは高いけれど、女性が活躍できる場があること、とても良いキャリアになることを説明し続けましたね。
インドネシアでは介護保険とか介護サービスというものが存在しないので、イメージがつかないということもあったと思います。日本で働いている方たちの動画を撮影し、現地の体育館に500人くらいの人を集めて映像を流したり。日本の介護施設と現地をつないで、ライブ中継をしたり。何度も何度も繰り返し伝えました。10人にも満たないところからスタートしましたが、地道な活動を通じて本当に少しずつですが生徒が増加。実際に日本で活躍する人たちの経済的な豊かさを知ったり、ありがたいことに現地では口コミも広がったみたいです。
一つ伝えておきたいのが、介護人材は女性を希望されることが多いのですが、キャレオスでは男性の方が多く活躍してくれています!


教育から就職まで ワンストップで丁寧にサポート
Q. 卒業生のみなさんはどのような活躍をしているのですか?
卒業後は、北海道から沖縄まで全国各地の介護施設で活躍しています。外国人の人材は安定的に採用できるので、会社を成長させていくために欠かせない存在。高いレベルの知識や技術を持った人たちも多いので、サービスの質を上げるために必要だと考え採用してくださる企業や施設も増えています。
人手不足だから外国人を採用するのではなく、会社を成長させていくために必要なことだということをスタッフみんなに理解してもらう必要があります。外国人の採用を迷っている方には、すでにキャレオスという先行事例があるので、私たちがどのように取り組んできたかをお伝えします。外国人の人材に対する漠然とした不安や誤解を、取り除くことも私たちの役割。自分たちが挑戦し、試行錯誤しながら続けてきたからこそ伝えられることがあります。
フジアカデミーでは、卒業から10年後までの未来を一人ひとりに書いてもらいます。N1や介護福祉士を取得して日本で働き、帰国したら家を建てて、結婚して…そんな夢いっぱいの未来を一緒に作っている私たちには、生徒たちのキャリアをサポートする役割もあります。インドネシアの学校と日本国内のサポートをワンストップで行うからこそ、来日した生徒の困りごとをサポートすることができるし、介護現場での課題や企業の要望を学校にストレートに伝え、カリキュラムに反映することもできるのが私たちの強みです。

キャリアの循環が次なるチャンス! 国を超えて介護サービスを展開
Q. 今後の展望を教えてください!
インドネシアには6つの学校があり、年間約800人の卒業生を輩出しています。目標は年間2,000人なので、学校も10校くらいまでは増やすことを想定しています。ただ、いつまでも伸び代があるわけではなく、急成長の後には安定期があり、いずれは衰退がやってきます。インドネシアの経済発展状況を考えてもそれは明らかです。
私たちが次に目指したいのが、『ゆうゆう』という介護ブランドをインドネシアで展開していくこと。そのために、ホームケア(訪問介護)をインドネシアでスタートします。2030年にはインドネシアで介護施設をオープンしたいと考えています。福山で働いていた技能実習生2人が帰国し、活躍してくれる予定です。

技能実習を終えた子たちがインドネシアに帰国すると、せっかく日本で築いたキャリアが途絶えてしまうという現状を改善したいという思いもあります。彼らは職場や地域を支えるリーダーになる可能性が十分にある人材たち。技術や才能のある人材を大切にしたいし、彼らが帰国するときがキャレオスにとっても真のチャンスだと思っています。
まだ誰もやったことのない新たな挑戦なので、軌道に乗るまでまた苦労するかもしれませんが…これからが最高に面白くなるはず。奮闘記をぜひ改めてお伝えしたいですね!
<ライター小話>
インドネシアのバティックシャツを着て、海外出張から戻られたばかりの藤井社長にお会いした最初の印象は、「やっぱり華やかだな〜」でした。しかし、海外での活動は想像以上に過酷で、地道な作業の連続…。しかも移動はLCC(格安航空会社)。
さらに驚いたのは、LCCゆえに発生するトランジットタイムがいかにすばらしいかを熱弁する姿。
あえて直行便ではなく乗り継ぎ便を選び、あえてトランジットタイムが長〜い便を選ぶことで「もしアメリカに行くならハワイを経由して…」「台湾に行く前に韓国に寄って…」などなど、実行する予定もないのに(←失礼)お得な乗り継ぎ便プランが出るわ出るわ!
海外旅行に出かける予定がある方は、トランジットオタクの藤井社長にぜひプランニングを相談してみてください♪