先生たちの「本気」が炸裂!

キーワード: 2026年9月30日  お祭りごっこの製作、先生たちの本気、和井田保育園

ワクワクが止まらないお祭りごっこの製作に迫る!


屋台にずらりと並ぶ手作りの品々。法被姿の子どもたちがお店屋さんに変身します

岡山県倉敷市児島にある『和井田保育園』。子どもたちの主体性を大切に育むこの園では、0歳から6歳までの子どもたちがのびのびと過ごしています。

園のブログを眺めていると目に飛び込んできたのは、リアルで遊び心たっぷりな製作物の数々。

焼き台でこんがり焼けるトウモロコシやイカ、フランクフルト。
「ジュージュー」と炒める音が聞こえてきそうな焼きそばやお好み焼き。
ふわふわの綿あめが作れる綿あめ機。
そして地域のお祭りを再現した本格的なだんじりや神輿…。

本物そっくり、けれど本物以上に好奇心を刺激されるものばかりです。大人でも「すごーい!」と思わず声を上げてしまう製作物に、子どもが夢中にならないわけがありません。園児たちは目をキラキラさせながら、遊びの世界へ飛び込んでいきます。

そこで今回は、和井田保育園の先生方に製作へのこだわりを取材! そこにはただ楽しいだけではない、子どもたちの主体性や想像力をぐんぐん引き出す工夫が詰まっていました。

先生たちの遊び心が光る!製作アイデアのひみつ

■ 身近な素材が、リアルで可愛い食べ物に変身

新聞紙でできた焼き芋。段ボールの壺もリアルな仕上がりです

新聞紙や段ボール、ペットボトルなど、園で活躍するのは身近な廃材たち。そこに100円均一のアイテムも組み合わせながら、かわいくリアルな食べ物へと生まれ変わります。

例えば焼き芋は新聞紙、焼きトウモロコシは包装材のプチプチでできています。「加工しやすいこと」「子どもたちが思いきり遊んでも壊れにくいこと」も、素材選びの重要なポイントだそうです。

先生たちが大切にしているのは、子どもたちがいま、何に興味があるのかということ。「焼き鳥屋さんをやってみたい!」とのリクエストがあれば、一緒に紙を丸めて焼き鳥を作ることも。

綿あめ機やかき氷など、子どもたちのリクエストから生まれた屋台の道具

加えて普段から保育雑誌やSNSなどで情報を収集し「これは使えそう!」「作ってみたい!」というアイデアをストックしているそうです。

子ども目線の「好き」と大人の「遊び心」が出会うことで、みんながぐっと引き込まれる、リアルで魅力的な世界観が完成するのです。

■ 夢中になって遊べるのは、「安心」があるから

角を丸く加工するなど、安全への配慮があるから思いきり遊べます

楽しい遊びの時間を支えるのは、先生たちの細やかな安全への配慮です。

・角は丸くカットするなど、触れても危なくないように加工する

・誤飲につながらない大きさを意識し、パーツは結束バンドなどでしっかり固定する

・喉に刺さると危険な割り箸は使わず、紙を巻いた筒やストローを使う

子どもたちが安心して思いきり遊べるように、加工や素材の安全性を高めることは絶対のルールなのです。

「説明なし」で遊びが始まる!本物のお祭り顔負けの活気

本物そっくりの焼き台を前にすると、説明なしで遊びが始まります

本物そっくりの道具を目の前にすると、子どもたちは遊び方を説明されなくても、すぐに自分たちで遊び始めます。

「いらっしゃいませー!」「おいしいですよー!」と、本物のお店顔負けの大きな声で、本気の呼び込みを始める子。「これください!」「いただきまーす!」とお客さんになりきる子。園いっぱいに、お祭りらしい活気が広がります。

「いらっしゃいませー!」本気の呼び込みが園いっぱいに響きます

子どもたちは自分たちで考え、役割を決め、順番決めや交代もしながら楽しんでいるそう。リアルな製作物を使った「ごっこ遊び」が、主体性を育んでいるのです。

役割を決めて交代しながら。ごっこ遊びが主体性を育みます

姉妹園の『下の町乳児保育園』へ製作物を持ち込んで屋台ごっこをしたときも、2歳児さんたちは説明なしでたこ焼きを容器に入れるなど、すぐに遊びの輪に入っていったそうです。

屋台ごっこの輪は姉妹園にも。年下の子にやさしく手渡します

一緒に遊んだ和井田保育園の5歳児さんたちが、「食べるマネするだけだよ(=口に入れてはいけないよ)」「あとで返してね」とやさしく声をかける姿も見られました。楽しく関わるなかで、年下の子を気にかける思いやりの心も育まれています。

みんなで引くだんじり。園庭がお祭りの活気に包まれます

さらに、大人がすべてを作り込みすぎないことも大切にしています。先生が用意した土台に、子どもたちが塗った絵を貼ってだんじりを完成させたり、ジュースの中身を紙で作ったりと、子ども自身の手が入る余白を残しています。

中身を紙で作ったジュースや綿あめ。子どもの手が入る余白を残します

「これ、私たちが作ったやつなんよ!」「こうやって食べるんよ!」と、得意げに教えてくれる子どもたち。「自分たちが作った」という実感が、遊びへの愛着や、モノを大切にする気持ちにつながっています。

本格的な製作を続けるための工夫

分担表を活用し、スキマ時間に少しずつ。クラスの枠を越えて進めます

これだけ充実した製作を行いながら、先生たちが業務を抱え込まないよう、園全体で働き方も工夫しています。

毎年使うお祭りごっこのだんじりや屋台セットは、壊れたところだけを修理して再利用。一から作り直す負担を減らしながら、大切に使い続けています。

事務所には「作るもの」「完成したもの」「未着手のもの」が分かる分担表を掲示。子どもたちのお昼寝中や合同保育中の30分ほどのスキマ時間を使い、クラスの枠を越えて、できる人ができるところを進めているそうです。

行事の規模も見直し、大がかりな製作物に追われすぎない仕組みへ。業務負担や残業を抑えながら、子どもたちが楽しめる行事や製作を守っています。

子どもたちの「楽しい!」が、先生たちの原動力

「子どもたちの『楽しい!』が原動力」と話す和井田保育園の先生方

「イベント前は、準備に追われる気持ちになることもあります。でも、おいしそうに作れたら自分たちもうれしいし、本物以上にテンションが上がるんです」と笑顔で話す先生方。

そして何より、できあがった製作物で子どもたちが目を輝かせながらごっこ遊びをしている姿を見ると、大変さなんて吹き飛んでしまうのだそうです。先生たちも見守るだけでなく、お客さんになって買い物を楽しんだり、食べるふりをしたりと一緒に楽しむのだとか。

「これからも子どもたちに『何があったらうれしい?』と聞きながら作っていきたいですね」と、次のアイデアへの意欲も尽きません。

先生たちが無理なく製作に取り組める環境があり、子どもたちと一緒になって盛り上がる。だからこそ、子どもたちも夢中になって、遊びのなかでいろんな発見をしながら成長していけるのだと感じる取材でした。